ふと、思い出した。

現在、CSで「刑事コロンボ」を放送しているのだが、それを見て、ふと「古畑任三郎」を思い出し、そこからまたふと、江口洋介さんが出演していた回を思い出した。

 

あれは間違いなく、「ダイハード2」の設定をそのまま使った話だ。

 

「ダイハード2」では、飛行機をハイジャックする話なのだが、「古畑任三郎」では、電車をジャックしていた。

そこからもう、物語に入っていけなかった。

「電車ジャック」なんて犯罪、聞いたことがなかったからだ。

飛行機やバスなら理解できるが、電車をジャックしてどうするというのだろうか?

当たり前だが、電車は線路の上しか走れない。どんなに早く走っても、辿り着く先は、終着駅と決まっている。

線路の上を行ったり来たりするだけで、行動はある程度予測できるし、中の様子も知ろうと思えばできる。まったく緊張感のない犯罪だ。

せめて、JRか大手私鉄の電車を使えれば、まだドラマとして見栄えが良かったが、使った路線がローカル線(たしか、銚子鉄道だったと思う)しかも二両。

まったく迫力がなく、のんびりとした映像になっていた。

「ダイハード2」では、アジトが教会。「古畑任三郎」では、寺とそのまんま。

何から何まで「ダイハード2」そのもの。

しかも、逮捕の決め手が、ボールペンのカチカチという音。

何から何まで、ショボかった。

それが最終回で、前編、後編に分かれていた。

かなりの視聴率を取ったようだが、それにしてもヒドい回だった。

 

ここからは推測なのだが、おそらく三谷幸喜さんには、アイディアがなかったのではないだろうか。苦し紛れで、「ダイハード2」をそのまま使ったのだろう。

そうでなければ、あんな堂々と設定を使ったりはしない。

誰も止めなかったのも、きっと時間がなかったからだ。今更、書き直す時間もない。それに、JRや大手私鉄からの許可を取ろうと思えば、時間がかかる。ローカル線なら、すぐ撮影ができる。

 

苦肉の策の妥協点と言ったところか。

 

昔なら「オマージュ」と言えば、許されたが、今なら確実に大炎上。

古畑任三郎ごと真っ黒こげになっていただろう。

 

三谷さんは、ちょいちょい「オマージュ」を使いたがるが、あれは一種の癖のような気がする。

その手癖の悪さを直さないと、大変なことになると思うのだが、これは要らぬお節介というものか。